2013年12月11日水曜日

スマホでIP電話をゼロから考える(Part1)【検討】

スマホで使えるIP電話には「050plus」や「G-Call050」など、多種サービスが提供されています。
今までは、高音質・低遅延の「G-Call050」が最も魅力的でした。

しかし、現在「G-Call050」の音声コーデックに「SILK」が使えなくなっています。
「SILK」がまた使えるようになるのか、もう二度と使えないのか、詳細は分かりません。




今回はこれを機に、スマホで使えるIP電話サービスを、再度ゼロから検討してみたいと思います。



[ IP電話サービスの種類 ]

私のいままでの経験(と勘)に基づき、高性能なサービスをピックアップしてみました。

  • 050plus
  • G-Call 050
  • FUSION IP-Phone SMART
  • BIGLOBEフォン・モバイル
  • ServersMan 050
  • ブラステル
  • Skype Out
  • Viber Out


    なお、以下は高性能でも候補にあがらなかったサービスの一例です。

    【 LaLa Call 】
    これに向けて発信すると「ララコールへお繋ぎします」とガイダンスが流れます。
    せっかく性能が良いのに、さすがにこのガイダンスは無理です。
    これであれば、050plusのガイダンス「ゼロ・ゴー・ゼロ・プラスへお繋ぎします」を選びます。

    【 BlueSIPフォン 050 】
    例え高性能でも、通話料がG-Callより高く、使う価値を見出せません。
    (月額:633円  通話料:固定・携帯・IP宛一律 21円/分)



    [ IP電話サービスに求めること ]

    IP電話サービスに求めることを重要な順に並べます。
    1. 料金
    2. 安定性(切れない)
    3. 低遅延
    4. 高音質

    【料金】
    これは読んで字の如くです。
    安くするためにIP電話を使うのですから、「BlueSIPフォン 050」のようにIP電話で発信すると高額になるようなサービスでは意味がありません。

    【安定性】
    これは通信の安定性、アプリの安定性を指します。
    どんなに安くても、ブチブチ切れていては電話として使えません。

    【低遅延】
    IP電話において音質よりも重要な項目です。
    遅延時間が大きいと、スムーズな会話ができません。これは経験するとわかるのですが、結構なストレスです。

    【音質】
    音質は音声コーデックとSIPアプリに依存します。
    ここで求めることは、「キレイな音」ではありません。「聞き取りやすい音声」です。



    [ 使いやすいIP電話サービスであること ]

    前述4項目を満たせても、使いやすくなければ満足できません。

    まず、「ServersMan 050」はServersMan(DTIのMVNO)SIMを刺していないスマホでは使うことができないため、除外します。
    また、電話として使いたいため、発信者番号通知に不備のある「Skype」と「Viber」も除外します。

    さらに、「ブラステル」も除外します。この判断は非常に迷いました。
    「ブラステル」のIP電話サービスは他社と比べて若干安いのです。そのため、除外したくはなかったのですが、支払方法がプリペイド方式となっており、煩わしいのです。また、サービスを開始するためにもブラステルカード(2000円)をコンビニ等で買ってくる必要があり、このあたりの不便さから除外としました。

    「BIGLOBEフォン・モバイル」は、電話帳から発信できず除外するつもりでしたが、アプリ付属の電話帳がスマホの電話帳と完全に連携していて使いやすかったため、候補に残しました。

    「FUSION IP-Phone SMART」は固定電話宛が高額なため、これを利用するメリットは少ないです。しかし、携帯宛にしか発信しない人もいると思い、候補として残しました。

    [ブラステルについて追記(12/13)]
    ブラステルについて勘違いしていました。
    まずは支払方法が煩わしいプリペイド方式ですが、これはオートリチャージ機能でクレジットカードから自動的に課金できました。
    これで1点目の問題クリアです。
    
    そして、ブラステルカードの購入について。
    これはネット上の情報に惑わされました・・・。契約にブラステルカードなんて必要ありません。
    ブラステルは050番号の発行を含め、すべてネット上で契約できて、即時に使えるようになります。
    
    ブラステルHP → 「ブラステルカードのお申込み」 → 「今すぐご利用可能!オンラインカード」(クレジットカードが必要)
    これで2点目の問題もクリアです。
    
    なお、ブラステルの追加に合わせ、下の表も書き換えました。
    


    以下に、残ったIP電話サービスを列挙します。
    ここに記載されているIP電話サービスは、どれも使い勝手は良好です。


    サービス名 月額料金 通話料 備考
    固定宛 携帯宛 PHS 国際電話
    (例:アメリカ)
    050plus 315円 8.4円/3分 16.8円/分 10.5円/分 9円/分  
    G-Call 050 294円 不明 5円/分  
    BIGLOBEフォン・モバイル 315円 16.7円/分 10.5円 +
    12.6円/分
    8円/分 ※1
    ブラステル(050) 0円 5.5円/30秒 不明 3.99円/分  
    FUSION IP-Phone SMART 8.4円/30秒 8円/30秒 ※2

    ※1 BIGLOBEのSIMを挿していなくても使用可能。
    ※2 課金時間の単位に注意「30秒」


    しかし、使いやすいだけではなく、「性能」も良くなければなりません。
    それについては後ほど検証します。



    [ 高性能SIPクライアント(アプリ) ]

    提供されているIP電話サービスがいくら優良であっても、それを活用するアプリの出来が悪ければ、宝の持ち腐れになってしまいます。
    そこで、IP電話を最大限に活用できる優秀なアプリを探します。

    アプリに求める条件は次のとおりです。
    1. 低遅延・高音質
    2. 電話帳アプリからの呼出→起動
    3. 低帯域用音声コーデックのサポート
    4. バッテリーの持ち

    私は今までに何十種類ものアプリを試しました。
    それらの中で唯一、1~4すべてを満たしたものはiOS版の「Acrobits Softphone」だけでした。
    Android版では、すべてを満たすアプリは残念ながら存在しませんでした。

    しかし、スマホとしての性能はiPhoneよりAndroidに分があります。
    これは非常にジレンマである反面、面白いところでもあります。
    (障害が多いほうが、燃えます・・・よね?)

    iPhoneを使っている人は「Acrobits Softphone」以外を考える必要がないため、iPhoneは今回の検討から除外します。

    話を元に戻します。
    今まで試した中で優秀(1~4のうち3つ以上クリア)だったアプリを列挙します。(Android版)
  • CSipSimple
  • Acrobits Softphone
  • Media5-fone

    【CSipSimple】
    非常に高性能で、「できないことがない」ぐらいのアプリです。
    今回紹介する中で唯一「SILK」に対応しています。しかし、高性能な「SILK」も、サポートするIP電話サービスがなければ意味がありません。
    今回は「G729a」を選定します。

    【Acrobits Softphone】
    全アプリの中、Acrobits製のみプッシュ着信に対応します。これが「Acrobits Softphone」の最大のウリです。
    これに対応していることで、バッテリーの消費をほとんど気にすることなく待受状態にできます。
    低帯域用音声コーデックは「G729a」に対応しています。

    【Media5-fone】
    安定性・音質ともに優れていますが、バッテリーの消費量が大きいです。
    そのため、待受には向いていません。
    しかし、最近のスマホは電池持ちが非常に良いことから、本アプリも候補としました。
    また、私のようにほぼ発信専用としてIP電話を使う人には向いているかもしれません。
    音声コーデックは「G729a」に対応しています。

    なお、「G-Call050」と「ブラステル」以外のIP電話サービスは、それ用に用意された専用アプリを使います。
    (カッコ内は使われる音声コーデックを示しています。)

  • 050plus (G729a)
  • FUSION IP-Phone SMART [SMARTalk] (iLBC)
  • BIGLOBEフォン・モバイル (Speex)



    [ スマホ端末の性能による音質差 ]

    検証に使用するスマホの性能によっても、結果は変わってくるのではないかと予測できます。

    そのため、次の3種類のスマホで検証を行います。

  • L-01F (CPU:4コア 2.2GHz)
  • P-06D (CPU:2コア 1.5GHz)
  • SH-07D (CPU:1コア 1.0GHz)



    [ 検証に向けて ]

    これまでに培ってきた経験を活かし、最適なIP電話サービスとアプリとの組み合わせを考えたいと思います。

    この記事にそのまま検証結果を追記すると煩雑になるため、Part2として検証結果を報告する予定です。

    (検証結果報告)
    スマホでIP電話をゼロから考える(Part2)【実証】


    [SILKについて追記(12/17)]
    現在「G-Call050」で「SILK」の使用に支障を来しています。
    内容は「Wi-Fi接続時に限り、SILKが使えなくなる」というものです。なお、G729a等の他のコーデックは正常に使えます。
    

    [G-Call050について追記(12/18)]
    G-Call050のアプリが「AGEphone」ベースから「Cloud Softphone」に変更されました。
    なるほど。これが理由で「SILK」の対応がおかしくなっていたようです。
    
    非常に積極的なアップデートで歓迎すべきことなのですが、嬉しい反面、今後「SILK」が積極的にサポートされることは無いと思います。
    なお、「Cloud Softphone」は「Acrobits Softphone」の機能制限版で、まったく同じ性能です。そのため、あらためて検証を行うことはしません。
    
        
  • 8 件のコメント :

    1. Qtalkってやつ試してみたことありますか?低遅延ですよ。アプリが使いづらいのが難点ですが。
      あとやっぱblastelも比較対象に入れたほうが良くないですかねー。番号通知可能なサービスの中では費用対効果でダントツだと思うんですが。プリペイドの手間も個人的にはクレカ不要っていう利点だと思っていたもので…
      偉そうなことを長々とすみません。通りすがりの者です。

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      1. namekodakedehaさん

        コメントありがとうございます。

        >Qtalkってやつ試してみたことありますか?

        ありません。存在自体をしりませんでした。
        これには興味津々です!
        ですが、namekodakedehaさんの言うとおり、あまりにもアプリが使いにくそうです(^_^;)
        今後別物として検証してみたいと思います。
        情報ありがとうございます。


        ブラステルは本記事のとおりです。・・・が、いまだに悩んでいます。
        「試してみるかなぁ」に心が傾きかけています。

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      2. namekodakedehaさん

        ブラステル追加しました。
        理由等々は本記事に追記しました。

        アドバイスありがとうございました!

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      3. こちらこそありがとうございました。最近ブラステルの安さや安定感にひそかに感動していたもので...。なんかうれしいですw
        part2楽しみに待ってます。

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    2. いつもホットな記事の提供有難うございます。検証を含め、論旨も明確で非常に読みやすく参考になっています。
      さて、Brastel050 は最近番号が付与されるようになり、私も使うようになりました。メリットは Skype 並の音質、通話料の安さでかつ、日本でも番号通知可といったところでしょうか。ただ、残念なのは圏外着歴が残らないので、発信用のコーリングカードだと思って使っていますが、個人的に海外へかけることが多いので重宝しています。Part2の記事、楽しみにしています :)

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      1. seilaliesさん

        コメントありがとうございます。

        Brastel050に関して同意です。
        これに留守電と着信通知が完備されたら、同種のサービスは追いつけませんね。
        そうなれば、(キャリアを捨てて)これに一本化する人も、少なからず出てくると思います。

        G-Call050のSILKで奔走しましたが、「Part2」掲載しました。
        少々長文になってしまったのですが、宜しければご覧ください。

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    3. Brastelですが、特定の条件下において初期費用を500円で済ませる方法があります。

      ①brastel提携店でのリチャージ

      ②現金・PayPal、海外で発行されたクレジットカードでリチャージされた、brastelカードからのクレジットトランスファー(残高移行)。

      店舗に出向いたり、支払い方法が合致している既存顧客を探す手間など掛かりますが、500円で手軽に試したい!という方には良いかもしれません。

      他にグローバル企業らしく慈善活動もしていて、寄付付きカード発行もしています。
      http://www.news2u.net/releases/117535
      メール等問い合わせ後に郵送でカードが送付され、寄付つきカードに支払い後ブラステルが5%を寄付。

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      1. ZekeZeoさん

        少額チャージ方法のご連絡ありがとうございます。
        ①についてはまずまず提携店も存在するため、クレジットカードを使いたくない人は結構利用しているようですね。

        寄付付きカードの存在は知りませんでした。
        (通常の申込時に「フローレンスに申し込む」などとチェック項目があればより良いのになぁ。)

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