2014年11月15日土曜日

Windowsタブレットでファイルサーバを作る

我が家の動画鑑賞方法は二通りあります。
  • USBメモリに動画を保存し、TV側でそれを再生する。
  • ルータに挿したUSBメモリ上の動画をChromeCastで再生する。

    いずれの方法もUSBメモリを主体としているため、容量が少なすぎます。
    いまや、テラバイト級のHDDが数千円で売られているのというのに、私は32GBのUSBメモリで細々と運用しています。

    徐々にそれが億劫になり、もっと大容量のディスクがほしくなりました。
    ついでにそのバックアップもとれれば、なお良しです。




    そこで、ファイルサーバを構築することとしました。



    【 サーバに求めるもの 】

    ファイルサーバと言っても、私が求めているものは単純なファイルサーバ機能だけではありません。
    動画のストリーミング配信が可能なメディアサーバ機能も持たせたいと思っています。

    以下、サーバに求めるスペックです。
  • ファイルサーバ機能
  • メディアサーバ機能
  • 容量1TB程度
  • クラウドストレージにデータのバックアップ
  • 低消費電力であること
  • 低価格であること

    このようにワガママいっぱいなのですが、なんとこれを叶えてくれる機器が1つだけありました。
    TurboNAS」と言うネットワークドライブです。

    これはLinuxベースのNASで、拡張機能として外部のクラウドストレージにバックアップもとれます。
    価格は3万円程度です。(HDDなし)

    これですべてを満足できるのですが、何か決定打(面白さ?)に欠けます。



    【 タブレットをサーバにする? 】

    結果として、私が選んだのはWindowsタブレットです。
    Windowsであれば、OS標準でファイルサーバ機能とメディアサーバ機能を持っています。

    また、タブレットは本来、持歩くことを想定しているため、物凄く低消費電力です。
    さらに、iPadやAndroidタブレットと市場が競合しているため、非常に安価な価格設定です。

    しかし、問題は1TBも容量のあるタブレットなど存在しないことです。
    さらに、タブレットは無線LAN接続が基本であり、これではサーバとしては不安定です。また、通信速度も遅すぎます。

    まだ問題があります。
    安価なタブレットPCは、内蔵ストレージにeMMCが使われています。
    これはファイルサーバのキャッシュとして使うには不向きです。

    問題点をまとめると以下のとおりです。
  • ストレージ容量が少ない。
  • 無線LANでは不安定、かつ遅い。
  • 内蔵ストレージはキャッシュに向かない。



    【 Windowsタブレットをサーバにするために 】

    Windowsタブレットをサーバにするためには、先ほどの3つの問題点をクリアしなければなりません。
    しかし、これは意外と単純な発想でクリアできます。

    「足りないものは後付けする」

    と言うことで、HDDと有線LANアダプタを、USB接続(外付け)とすることでこの問題をクリアします。

    案外、どんなものでも接続すれば認識してしまうものです。
    「何でも挿せば動く」Windows最大の魅力です。



    【 Windowsタブレットサーバの構築 】

    Windowsタブレットをサーバにするために必要なものを列挙します。
  • Windowsタブレット
  • USBハブ
  • USB外付けHDD
  • USB有線LANアダプタ
  • USBメモリ
  • MicroUSB⇔USB変換ケーブル


    ◆ Windowsタブレット

    これがなくてはどうにもなりません。
    Windowsが搭載された格安のタブレットを選びます。
    ちなみに、高性能である必要はありません。

    私は2万円ちょっとで買える「Iconia W3-810P」を選びました。
  • Acer Iconia W3-810P

    ですが、今はダントツで以下タブレットがお勧めです。
    Windows8.1を搭載していながら2万円を切る価格帯です。
    (ドスパラ限定商品のようです。)
  • デジノス DG-D08IW



    ◆ USBハブ

    3種類のUSBハブを試しました。
    1台目はまさに「安物買いの銭失い」です。
    怪しいメーカの激安ハブを使ったら、遅い遅い・・・。

    最初はハブが原因とは気付けず、「やはりタブレットではダメなのか」とガックリしました。
    そうならないためにも、ある程度良いものを選びます。

    USBハードディスクを安定して動作させられる、セルフパワーに対応したハブがお勧めです。
    また、タブレットがUSB2.0までの対応だとしても、USB3.0に対応したものを選ぶと良いです。

    私は以下のUSBハブを選びました。
  • iBUFFALO USB3.0ハブ 4ポートタイプ(ACアダプター付) マグネット付 ブラック BSH4A05U3BK



    ◆ USB外付けHDD

    速度を重視するならば3.5インチHDDを選びます。
    省エネ・静音を重視するならば2.5インチHDDを選びます。
    なお、できればUSB3.0に対応したHDDを選ぶと良いです。

    私は以下のHDDを選びました。
  • シリコンパワー USB3.0/2.0対応 Stream S03 ポータブルHDD 1TB SP010TBPHDS03S3K



    ◆ USB有線LANアダプタ

    実際はUSB2.0で使うとしても、USB3.0に対応したギガビット有線LANアダプタを選びます。
    私は以下の有線LANアダプタを選びました。
  • Logitec 有線LANアダプタ ギガビット対応 USB3.0 LAN-GTJU3



    ◆ USBメモリ

    今回はキャッシュとしてこれを使うので、低速のUSBメモリでは役不足です。
    しかし、見た目はUSBメモリで、中身はSSDという製品が存在します。

    SSDであればeMMCより繰り返しの読み書きにも強く、速度も速いです。
    以下製品がお勧めです。
  • SanDisk Extreme USB3.0 フラッシュメモリー 32GB SDCZ80-032G-J57



    ◆ MicroUSB⇔USB変換ケーブル

    これもUSBハブと同様、粗悪品は避けるべきです。
    私はIconiaに標準で付属していた変換ケーブルを使用しました。

    ある程度の品質が確保された有名メーカを選んでおけば問題ないと思います。
  • SANWA SUPPLY USBホスト変換アダプタケーブル(MicroBオス-Aメス) 10cm AD-USB18



    以上の機器をWindowsタブレットに接続すれば、ハードウェアの準備は完了です。



    【 Windowsタブレットサーバ上でファイルを共有する 】

    基本的にWindowsタブレットサーバに使うソフトウェアはOS標準のもので問題ありません。
    接続したUSB HDDを共有すれば、それだけでファイルサーバとメディアサーバの出来上がりです。

    しかし、クラウドストレージ上に常時バックアップをとるためには、別ソフトが必要です。



    【 バックアップ先のクラウドストレージ 】

    まずはバックアップ先を決定します。
    無難なところではDropBoxかGoogleドライブです。
    しかし、私が選んだサービスは「FINALBOX」と言うクラウドストレージです。
  • DropBox(1TB) ・・・ 1200円/月
  • Googleドライブ(1TB) ・・・ 1000円/月
  • FINALBOX(無制限) ・・・ 1000円/月

    バックアップという観点からは、保存先にはFINALBOXのような無名なところを選ぶべきではないと思います。
    いつサービスが終了してもおかしくありませんし、また預けたデータの扱い(機密性など)についても、信用できるわけではありません。

    これについては別記事で詳細を書きたいと思います。

    なお、FINALBOXのメリットは容量が無制限なことよりも、転送速度がDropBoxやGoogleドライブに比べて遥かに速いことです。



    【 必要なソフトウェア 】

    必要なソフトウェアは次の2点です。
  • NetDrive
  • FreeFileSync

    この2つのソフトは私が使っているだけであって、同様のソフトはたくさんあります。
    もし使いにくければ、自分にあったソフトを探してみると良いと思います。

    ◆NetDrive
    クラウドストレージをローカルドライブとしてOSに格納できます。
    なお、ひと月の試用期間が過ぎると、機能が限定されますが、これは限定されていても特に問題はないと思います。
    (ただし、4GB以上のファイルを扱えません)

    ◆FreeFileSync
    ローカルドライブ間で同期したり、バックアップをとったりと様々なことができます。

    この2つのソフトを組み合わせて、USB HDDとクラウドストレージとを、リアルタイムに同期します。

    (※ ソフトの使い方は、他サイトで多くの情報が得られるため割愛します。)

    これで、バックアップシステムが完成です。



    【 タブレットとしての電源管理機能を無効にする 】

    タブレットは最大限にバッテリを保たせるため、すぐに画面がOFFになります。
    通常の運用であれば、これで全く問題はありません。
    しかし、困ったことに画面消灯中は強制的にLANもスリープ状態に入ってしまいます。

    こうなると、ネットワーク上からWinタブサーバが姿を消します。
    これではサーバとして機能しません。

    そこで、電源オプションを変更することになるのですが、電源オプションが「バランス」から変更できない場合があります。
    これはモバイル用途に最適な電源管理「InstantGo」が有効になっているためです。

    この場合、まずは「InstantGo」を無効にして、詳細な電源管理を行えるようにする必要があります。
    そうした後、画面が消灯してもスリープしないように設定します。
    1. 検索からregeditと打ちレジストリエディタ「regedit.exe」を起動します。
    2. HKEY_LOCAL_MACHINE System\CurrentControlSet\Control\Power と進みます。
    3. 「CsEnabled」の値のデータを「1」から「0」に変更します。(InstantGoの無効化)
    4. レジストリエディタを閉じて、Windowsを再起動します。
    5. 電源オプションの詳細設定より、画面消灯時もスリープしないよう設定します。



    【 まとめ 】

    Winタブサーバ構築費用
  • Windowsタブレット:21000円
  • USBハブ:2400円
  • USB外付けHDD:7000円
  • USB有線LANアダプタ:1700円
  • USBメモリ:家にあったもの
  • MicroUSB⇔USB変換コネクタ:付属品

    約32000円です。

    う・・・、なんか、TurboNASとほとんど変わりません。(゚_゚;)
    苦労したくない人はTurboNAS買ってください。
  • QNAP TurboNAS TS-121


    ・・・!!
    こういう風にまとめたかったわけではありません!(-_-;)

    もちろんTurboNASも良いのですが、Windowsで作ったサーバはとにかく使い勝手が良く、メンテナンスさえも、リモートデスクトップで行えます。
    また、非常に多くのフリーソフトがあるため、自分の好みにカスタマイズも可能です。
    なお、リモートデスクトップクライアントは、MS純正アプリとしてスマホにも提供されています。

    さらに、Winタブサーバは、Windowsならではの冒険もできます。
    現在、FINALBOXが実用可能か試験中なのですが、正直言ってWEVDAVがかなり不安定で、接続できない時間が一日の半分ぐらいあります。

    それでも何とか、エラーを出しつつもバックアップをしています。
    そんな「適当さ」もWindowsであるからこそ許されることです。

    パッケージ化された鉄壁のTurboNASか、自由度が高くなんでもできるWinタブサーバか。
    ほぼ同価格帯であれば私はWinタブサーバを選びたいと思います。

    (本音を言うと、費用対効果が非常に高い上に、こんなこと誰もやっていなくて面白いからなんですが。)