2013年5月20日月曜日

スマホで無料通話「LINE/Skype/Viber」の音質比較

スマホネタは一段落したつもりだったのですが、我慢できずやってしまいました。
スマホで実用的なVoIPサービスの通話品質(音質と遅延)を比較しました。
  • LINE
  • Skype
  • Viber
  • ドコモ携帯電話(参考)



    通常の音声発信・着信は、通話録音アプリで録音できます。
    しかし、VoIPを使った通話は録音アプリで録音することができません。詳しい理由はわかりませんが、VoIPアプリ側で音声を掴み続ける仕様になっているようです。

    そこで、スマホのイヤホンジャックから音声を取り出し、それをPCで録音しました。

    PCで録音した場合と録音アプリで記録した場合との違いは、「D/A変換」と「A/D変換」がそれぞれ1度余分に行われるか否かです。
    電話の音声データ程度では、この「○/○変換」が行われても、音質にはほぼ影響ありません。

    ということは、録音アプリを用いた場合も、PCで録音した場合も、それを意識せずに比較が可能と言うことです。


    次から具体的な方法についてです。

    基本的には<スマホでIP電話「各社の音質比較」編>と同じ方法です。
    (2台のスマホを通話状態とし、PCスピーカからの音声を録音します。)

    まず着信用スマホ(F-08D)のイヤホンジャックに、オス―オスの3.5mmステレオミニプラグを刺し、もう一方をPCのラインインに接続します。

    このためだけにケーブル買いました。
    (完全に本来の目的を見失っています。ま、楽しいのでスルーです。)

    安くて質も良かったので、一応おすすめしておきます。
    ELECOM ステレオミニプラグケーブル 3.0m DH-MM30
    (アマゾンの写真で端子部はシルバーでしたが、実際は24K金メッキされていました。)
    ←開封直後

    この状態でPC側で録音デバイスの設定を行います。

    録音・編集等には次のフリーソフトを使用させて頂きました。
  • 録音:「超録
  • MP3の編集:「K5 MP3 Volume Changer」、「mp3DirectCut
  • 波形確認:「Audacity

    検証用データはこのように作成しました。
    1. スマホ2台を通話状態にする
    2. 録音ソフトで「Line IN」を録音状態にする
    3. テスト用音声を流す
    4. 録音した音声データのゲイン変更(+7.5dB)(※)
    5. 音声データの無音部分をカット
    ※ スマホ内での音声データとイヤホンジャックから生データを出力する場合とで、ゲインコントロールの扱いが変わるようです。そのため、スマホ内での取り扱いレベル程度までゲインを調整しました。

    使用した音声データは<スマホでIP電話「各社の音質比較」編>と同様に、「声優のナレーション」サイトのサンプル音声を拝借しました。



    [測定条件]

      接続方法 帯域(Mbps) Ping
    (ms)
    使用端末
    DL UP
    光回線(KDDI) Wi-Fi 20.06 25.86 22 P-06D⇔F-08D
    3G(LTE) Wi-Fi 4.70 3.94 73 P-06D⇔F-08D
    3G 直接 4.37 0.38 149 P-06D⇔F-08D
    ドコモ携帯電話(参考) SH-07D⇔F-08D

    ※ 何度か速度計測を行い、値がブレないことを確認しています。


    各アプリの設定は「LINE」、「Skype」、「Viber」すべてデフォルトです。


    次に、遅延時間の計測です。

    P-06Dで喋った自分の声をF-08Dで着信し、F-08Dのスピーカから出力される音声と自分の生声とをミックスして、SH-07Dで録音しました。
    遅延時間は、その音声データの波形から解析しています。

    なお、回線についての考え方ですが、相手方の回線は基本的に「光」としています。
    これには、2つ理由があります。
    1. 通話相手の通信状態は一定のものとして検証したい。
    2. 私の通信費がバカにならない…(;_;)
    1はそのままの理由です。
    検証する都度、受信側の速度まで変わっていたら、何が原因かがわからなくなります。

    2もそのままの理由です・・・。
    パケホフラットを契約していないので、検証にお金かかるんです(`;ω;´)

    とは言っても、参考データは欲しいので、LTE同士と3G同士の検証は行いました。

    以下に、実際に録音した音声データと、その時の遅延時間を一覧にします。
    (夜中に録音している関係上、音量は小さめです。)

    <音声の元データ>



    各サービス 回線種別 音声データ 遅延(ms)
    NTTドコモ 携帯電話 212
    LINE 光 → 光 550
    LTE → 光 647
    3G → 光 585
    LTE → LTE 693
    3G → 3G 961
    Skype 光 → 光 502
    LTE → 光 525
    3G → 光 566
    LTE → LTE 496
    3G → 3G 912
    Viber 光 → 光 691
    LTE → 光 465
    3G → 光 880
    LTE → LTE 632
    3G → 3G 802


    <各サービスの考察>
    VoIPはIP電話とは違い、電話交換機を通さずにスマホ同士を直接接続します。
    このため、交換機の影響を受けずに、遅延時間は減少する・・・と思っていたのですが、そうでもありませんでした。

    基本的なことは<スマホでIP電話「各社の音質比較」編>で言ったとおりです。
    「VoIP」の検証では、そのすべてのデータが非常にクリアな音質で驚きました。

    遅延時間に関しては(電話としては)400msがボーダーと言われています。

    これから考えると「すべてがアウト」ですが・・・
    これに関してはIP電話の検証時と同様に実際に使ってみるしかなく、言葉ではなんとも言えません。

    携帯電話でも212ms遅延します。しかし携帯で電話しているときに遅延を感じたことなどないと思います。
    212msという数字はそんなものです。この程度ではまず支障がありません。
    携帯電話での通話は、誰もが経験していることでしょうから、「基準」として捉えやすいと思います。


    <各サービスの特徴>
    【ドコモ携帯】
    以前に比較したときはSH-07Dで録音したのですが、今回はF-08Dでの録音です。
    そのときよりも若干音質が落ちていますが、それでも特筆することもなく、普通の携帯の音質です。


    【LINE】
    皆が「LINE」を使う理由がわかった気がします。
    私は今回の検証のために「LINE」をインストールしましたが、素晴らしい音質です。
    携帯電話など比にならないほどクリアな音声でした。

    しかし、「2者による会話」という観点からみると、やはり微妙なラインです。LTE同士でも0.7秒ほど遅延しています。
    ただ、「LINE」で通話するということは、お互い遅延を承知の上での会話でしょうし、案外問題にならないレベルなのかもしれません。


    【Skype】
    「LINE」を更に上回る音質です。しかし、副作用も発生しています。
    低速回線下において、ロボットがしゃべっているような箇所があります。
    しかも、瞬間的ではなく連続で発生しています。

    しかしながら、高速回線では素晴らしい音質です。
    音質のみの比較でしたら、今回の検証の中で「Skype」はダントツです。


    【Viber】
    今回の検証の中で一番音質は劣ります。
    しかし、これでも携帯電話の音質より良いです。

    低速回線では会話の出だしで音質が悪くなっています。
    これは可変ビットレートの音声コーデックの特徴で、「Viber」は上の2つに比べて、頻繁にビットレートを変更しているように思えます。
    これで、「LINE」「Skype」などと差別化し、低速回線に特化したのではないかと想像します。


    <まとめ>
    「Skype」は固定回線で使うには、最高の音質・低遅延で申し分ないです。
    「Viber」は低速回線でも使えるようにチューニングされているように思えます。
    「LINE」は丁度その中間に位置しています。

    これらは、データ通信量がそのまま物語っています。
    以下、本検証で使った1分程度の通信量になります。
  • Skype:559KB
  • Viber:260KB
  • LINE:349KB

    今回の検証でわかったことは、必ずしも回線速度が速ければ良好に会話ができるというわけではなく、音質には何か他の要因も関係していそうな気もします。例えばスマホ端末自体のスペックなどです。もしかすると現在発売されているような超ハイスペック端末を使用すれば、また違った結果になるものかもしれません。それはまた追々検証してみようかな、と思います。


    なお、音質比較とは関係ないのですが、「Skype」と「Viber」はアプリを終了できます。
    「LINE」はアプリを終了できません。

    これが何を意味するかというと、「Skype」と「Viber」は明らかに通話を行わないときは、アプリを終了してスマホのバッテリーを節約できます。(着信したくない時もOFFにできる。)
    しかし、「LINE」はアプリを終了できないため、明らかに使わない時でもバッテリーは消費しますし、着信拒否ももちろんできません。

    この辺も、音声品質とは違った意味で検討の材料になるのかな、とも思います。


    <雑記>
    今回の検証はIP電話の時よりも過酷でした。
    すべての録音を終えた所で、
    「あれ?そういや、スマホのマイクで拾った音ってイヤホンには出力されないよな?」
    と当たり前のことに気付き(拾われたら自分の声で相手の声が聞こえない)、
    遅延の測定方法を見失いました。

    結局、音声データを録音しつつ遅延も計測できるような妙案は見つかりませんでした。

    そのため、自分の生声で遅延の計測を行うという奇行に走るしかなく、
    夜中にスマホ3台に向かって、ヒソヒソ声でブツブツ喋っている私の姿がありました。
    万が一、妻に発見されていたらと思うとゾッとします。

    と、今回は過酷でゾッとする検証でしたが、満足行くデータがとれたので良しとします。

    検証を行っていて、IP電話やこれらVoIPは各社本腰いれているように感じました。それを感じさせる程に、いずれのサービスも使いやすく、良質に仕上がっていました。
    通信インフラさえ安定すれば、今後は携帯電話のシェアを「食っていく」ように思えます。

    以上で各社の音声比較を終わります。
    長々とお付き合いいただきありがとうございました!
  • 2 件のコメント :

    1. skypeはVoIPではないですよ!p2pですよー!

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    2. たかとさん
      SkypeはSIPではありませんが、VoIPでありP2Pでもあります。

      VoIP(Voice over Internet Protocol):音声をパケット化して、インターネット上で伝送する技術です。
      P2P(peer to peer):コンピューター同士(ここではスマホ同士)が対に通信を行う技術です。

      これらはどちらか一方の技術しか使えないというわけではなく、両方の技術が使えます。
      Skypeで言えば「P2PでVoIPを実現している」と言ったニュアンスでしょうか。

      もし、そういうことを仰っているのでなかったらすみません。

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