2013年10月1日火曜日

IP電話に最適な「MVNO」を検証する

以前に<IP電話に最適な「MVNO」選び>として記事を書きました。
そのときはネット上の情報を基にして、質の良さそうなMVNOをピックアップしました。

今回は実際に以下の4社のMVNOと契約し、その速度・品質を検証しました。(すべて1000円以下プラン)
  • IIJmio (BIC SIM ミニマムスタートプラン)
  • OCN (モバイル ONE [30Mコース])
  • BIGLOBE (ライトSSプラン)
  • 楽天ブロードバンド (エントリープラス)





    [検証条件]

    検証を行う条件を以下のように定めました。
  • 平日昼間(昼休時間限定)[12:00~13:00]
     → 平日の昼休みの時間帯は「魔の時間」と呼ばれMVNOは極端に速度が落ちるらしい。
  • 測定場所:東京都
     → 私の職場。
  • 速度上昇クーポンは使わない
     → 公平性の問題。
  • 速度規制中でない
     → 速度規制されていては検証にならないため。

    なお、ドコモ本家は平日昼間においても、速度が全く低下しないことを確認しました。
    これにより、これからの検証はドコモによる足枷がないことがわかります。

    [ドコモXi接続(MoperaU)](参考)
    12:00~13:00 計42回のスピードテストの結果(平均値)
    DL:7643(kbps)
    UP:2735(kbps)
    PING:96(ms)




    [検証結果]

    これから「ダウンロード」、「アップロード」、「応答速度(PING)」の順番で考察していきます。

    ※ 楽天ブロードバンドがグラフに載っていませんが、それは後述します。


    <ダウンロード>

    ダウンロード速度は、IP電話において「相手の声がこちら側にしっかり届くか」の指標になります。



    グラフを見ると明らかですが、12:30~40にかけて「IIJmio」は速度の落ち込みが激しいです。
    最低値を見ると“11kbps”まで速度が低下しています。

    これではどんなに高性能な音声コーデックを使用しても、IP電話の利用は「不可能」です。
    相手の声がこちら側にはほとんど届かない状態となります。
    相手が、はっきり喋ろうがゆっくり喋ろうが途切れてしまい、会話になりません。

    OCN」は昼時でも、ほぼ理論値(200kps)が出ています。

    BIGLOBE」は、12:30~40では速度がブーストしているぐらいです。(BIGLOBE側が混雑を想定して回線を開放しているのか?)
    なお、「BIGLOBE」の理論値は“256kbps”なのですが、どの測定点においても“300kbps”程度は出ています。


    <アップロード>

    ダウンロード速度は、IP電話において「こちら側の声が相手にしっかり届くか」の指標になります。



    こちらもグラフを見ると明らかですが、12:30~40あたりで「OCN」の速度が落ち込んでいます。
    最低値を見ると“37kbps”まで速度が低下しています。

    例えば050plusでは、必要な最低速度は“20kbps”とされているので、この速度でも一応通話は可能です。
    しかし、この速度では「安定した通話」には程遠いものであることは確かです。

    なお、「IIJmio」と「BIGLOBE」のアップロード速度は速いです。
    IIJmio」が約“400kbps”(理論値は“200kbps”)、「BIGLOBE」が約“500kbps”(理論値は“256kbps”)もの速度が出ています。


    <応答速度(PING)>

    PING値は、IP電話においてはそのまま「遅延時間」となります。
    今回はスピードテストのtokyoサーバまでのPING値を測定していますが、これで十分に「遅延時間」の指標になります。
    (この数字は小さいほど良好です。)



    こちらはグラフを見ても少々分かりにくいかと思います。

    IIJmio」はPING値が“200~250ms”程度です。
    MVNOとしてはまずまずの速度です。

    OCN」と「BIGLOBE」はPING値が“100~170ms”程度です。
    ドコモ本家のPING値が“80~120ms”であることを考えると、非の打ちどころがありません。非常に良好です。

    しかし「OCN」を良く観察すると、何箇所かPING値が上方向に振り切っているところがあります。
    これらはそれぞれPING値が“1872ms”と“1380ms”という数値を示しており、グラフ上に表しきれないほどの「遅さ」です。いわゆる「パケ詰まり」です。

    これもIP電話としては致命的です。



    [まとめ]

    IP電話に最適なMVNOの検証結果を以下のようにまとめます。


    [IIJmio]
    アップロードは速いがダウンロードが遅い。
    よって「相手の声が通じない」

    ⇒ IP電話を前提としたMVNOには不向きです。


    [OCN]
    ダウンロードは速いがアップロードが遅い。
    よって「こちらの声が通じない」
    また、パケ詰まりにより通信が途切れることがある。

    ⇒ IP電話を前提としたMVNOには不向きです。

    ※ しかし、DL速度は安定していることからIP電話以外には良好なMVNOと言えます。

    BIGLOBE
    ダウンロードもアップロードも速い。
    理論値“256kbps”を遥かに超えた速度が出る。
    PING値も非常に良好。

    ⇒ IP電話を前提としたMVNOに最適です。



    [楽天ブロードバンドについて]

    実は「楽天」のAPNは「InfoSphere」であり、非常に高品質なプロバイダを主回線としています。
    これに期待して「楽天」を検証対象に選びました。

    最初は深夜に速度計測をしてみて、「お、速い!」と思いました。PING値も良好で、その速度に期待しました。
    しかし速いのは深夜だけです。昼時は通信速度が遅いという次元を超えて、通信が一切確立できません。

    12:00~13:00の間、何十回とスピードテストを試みましたが、一度も通信が確立することはありませんでした。

    よって、「楽天」はグラフから敢えて外したのではなく、測定できず載せられませんでした。



    [感想]

    本検証を行うまで、まさか「BIGLOBE」がこんなに健闘するとは思いませんでした。
    (健闘どころかダントツで1番なのですが。)

    私の予想では「OCN」が一番、次いで「IIJmio」、「BIGLOBE」と続くと思っていました。
    しかし結果はご覧のとおりです。

    なお、「BIGLOBE」は通常の使用においても良好でした。
    表現しづらいのですが、WEBブラウズ中でも「ひっかかり」や「途切れ」がないのです。PINGが速いことに所以するのかもしれませんが、今回の4社の中で一番ストレスを感じさせない使用感でした。
  • 6 件のコメント :

    1. 現在、IIJmioを既に2年近く使っています。050+を家族全員で導入しましたが、大不評でした。子供たちはLineを使えれば大きな問題が無いのでそのままです。最近新しいMVNOサービスが出てきているので最適な物を探しています。BIGLOBEかBICか迷っていました。ブログを拝見、とりあえず1台をBIGLOBEにするつもりです。
      少し気になるのが、IIJのwebの対応表では出来ないはずなのですが...IIJmioはP-07Dでテザリングが出来るのです。BIGLOBEでも出来れば嬉しいですね。N-05Dは一瞬出来た時もありました。その時はN-05D本体のインターネット接続が遮断されました。MVNOサービスのテザリングの情報はなかなかないようです

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      1. Sansei Liさん

        コメントありがとうございます。

        IIJmioは(地域によるのでしょうが)応答速度が悪いため、ネット閲覧程度であれば問題ないのですが、リアルタイム通話系(050+とか)には向きません。

        応答速度の良いものであればLineでの通話も良好になるはずです。
        (元々Lineの通話機能があまり優れていないため、限界はありますが。)

        なお、IIJmioとBICは全く同一のものなので、IIJmioで苦手なものはBICも苦手です。
        BIGLOBEはこの安さで人がかなり増えているでしょうから、それに対する速度低下が心配ですね。
        このまま頑張ってくれることを期待します。

        P-07DでのテザリングはBIGLOBEでも、きっとできると思いますよ(^^)v

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      2.   wertさんのブログを参考にBIGLOBEの会員になりました。家族全員変更するつもりで先ほどIIJの解約を済ませました。先ほどイオンの980円のSIMを4枚購入して来ました。BIGLOBEの相談窓口によれば、イオンで販売するSIMは新規会員扱いになり、会員割引は無いそうです。ちょっとがっかりです…。それでも1月1日にWEB手続きすれば1月のひと月は無料で使えますから、損の無い話なのでこのまましばらく使ってみます。
          2日ほど前BIGLOBEに問い合わせた際、現在申込みが殺到、SIMはすぐ発送出来ないそうです。その際、イオンで購入すれば良いのかの質問に、WEB手続き後すぐ使えるとの返事もあったのでわざわざイオンまで行きました。ユーザーが増えてwertさんの心配が当たらないことを祈ります。
          2月からSMSサービスが始まるようです。通信速度に問題なければSMS付のSIMに変えるつもりです。770円に再チャレンジします。SIM交換にはそれなりの費用が掛かるはずですから…。先日、SMSについての問い合わせでは、変更費用を含めも詳細はまだアナウンスされていないそうです。
          WEB検索でこのブログに辿り付けたのは本当に幸運でした。2年前までの3年間、娘がパケホーダイで小遣いのあらかたをドコモに吸い取られているのを見て、何とか出来ないかと、スマホに移行し、IIJmioに決めました。
          私は海外で仕事をする時間が長いのですが、香港はSIMフリー端末が当り前です(縛りの端末もあります)。日本の携帯電話のシステムはオカシイ。もっと通信費を安くして、端末は個人負担にキャリアに競争させるべきと思います。以前はSIMフリー端末が多かった中国でも現在、2年縛りで端末を無償提供する販売が中心になって来ました。中国でもiフォン商法の影響が極めて大きいと見ています。この国は利権にしがみつく1党独裁ですので仕方がありません。日本は開かれるべきです

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      3. Sansei Liさん

        日本の携帯電話のシステムについての考え方、全く同意見です。
        MNP制度も然り。(何も知らない長期契約者からお金を吸い取る制度)
        と・・・、これ以上は脱線しすぎるのでここまで(^_^;)


        >イオンで販売するSIMは新規会員扱いになり、会員割引は無いそうです。

        これが既存アカウントと合わせられたら良かったのですが、イオン版はどうやら特殊な扱いのようですね。(私も別件でBIGLOBEに問い合わせた際、そんなようなことを言われました。)

        BIGLOBEのSMS対応は楽しみです。
        このまま音声通話プランでも出てくれないものかと密かに期待しています。

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      4.   BIGLOBEのSIMに変え、通話の事例が少ないのですが、今のところストレスを感じません。参考までに、女房が年末久しぶりに岩手に帰省、盛岡、雫石周辺でIIJmioのsimを使って050+で通話、ストレスを感じなかったそうです。地域差、込み具合など都心部とは違うのかもしれません。

           なお、p-07dのテザリング出来ました。Wi2 300の接続先をPCに設定しましたので活躍の機会が少なくなると思いますが、テサリングが必要なこともあるはずです。一安心です。

           wertさんのブログを時々チェック、最新情報を楽しみにしております。現在使用中のイオンSIMはあくまで暫定使用ですので…

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      5. Sansei Liさん

        ご報告ありがとうございます。

        MVNOは地域によってかなりの差がでているようですね。
        ただ、高速で通信できていた地域でも、昼時だけは極端に速度が落ちるという情報を多く見かけます。
        よって、私は「昼時の通信速度」を基準としていました。

        P-07Dでテザリングができたようで良かったです。
        これも良機種ですよね。パナソニックの撤退が未だに悔やまれます・・・。

        ブログの応援ありがとうございます。
        本当は書きたい記事もやりたいことも、もっともっとあるのですが、なかなか時間がとれません。
        1日30時間ぐらいあればいいのに・・・(>_<)

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