しかし、今までAndroidアプリしか検証を行っておらず、iPhoneユーザから絶大な評価を得ている「Acrobits Softphone」の検証ができていませんでした。
そこで、Android最良のIP電話アプリ「CSipSimple」と、iPhone(iOS)最良のIP電話アプリ「Acrobits Softphone」の音質比較を行いました。
なお、比較に使用したIP電話サービスは「G-Call050」です。
「G-Call050」についてはこちらの記事をご覧ください。
<スマホでIP電話「G-Call050」のすすめ>
(IP電話関係についてはこれ以外にもたくさん記事を書いているので、右側のカテゴリ「スマホ 【IP電話・無料通話】」をご覧ください。)
※ ここで言う「Acrobits Softphone」はAndroid版ではなく、iOS版(iPhoneやiPodなど)を指します。
【検証に用いた環境】
[使用した端末]
[回線]
[録音環境]
[遅延測定環境]
※
携帯電話同士でも200ms程度は遅延するため、IP電話単体の遅延時間を知りたい場合は、この測定した遅延時間から100msを引いた値が本来の値となります。
ただし、ここでは実用的なデータを載せたいため、「IP電話→携帯電話」の遅延時間をそのまま掲載しています。
【各アプリの音質及び遅延時間】
<音声の元データ>
SIPクライアント | 回線 | コーデック | 音声データ | 遅延時間 |
CSipSimple | Wi-Fi | G.711u | 277ms | |
SILK | 285ms | |||
3G | G.711u | 540ms | ||
SILK | 444ms | |||
Acrobits Softphone | Wi-Fi | G.711u | 240ms | |
G.729a | 328ms | |||
3G | G.711u | 511ms | ||
G.729a | 571ms |
【検証結果と考察】
まず、G.711μと3Gの組み合わせは、「CSipSimple」「Acrobits Softphone」ともに出だしが崩れています。
これはG711が大きな帯域を使うコーデックのため、低速回線下では最初のバッファリングで問題が出ているためと思われます。しかし、出だし以外は良好です。
G.711μと3Gの組み合わせだけ避ければ、あとはすべて甲乙つけがたい結果となっています。
今回のデータを聴き比べて頂くと分かるのですが、「CSipSimpleが絶対に良い!」「Acrobits Softphoneが絶対に良い!」ということがありません。
両アプリは目指している方向性が全く異なるようです。
なお、音質自体の良さはコーデックの圧縮率のとおり、以下のようになっています。
これは、回線への負荷状況もこの順どおりとなりますので、使用環境により適切なものを選ぶ必要があります。
G.711μ > SILK > G.711a
(G.711μの音質が良いからといって、どの環境においてもこれが一番というわけではありません。)
【まとめ】
今回の検証はまとめられません。
「CSipSimple」と「Acrobits Softphone」とで目指している方向性が異なるため、あとはユーザの好みでどちらを選ぶかになると思います。
自分が使っていない環境は気になるものです。異なる環境の方がなんとなく良く見えてしまいます。
しかし両アプリとも素晴らしい出来なので、自分の使用環境にあったアプリを使えば間違いありません。
そのため、今回の「まとめ」は次のとおりです。
Androidユーザは「CSipSimple」が最良です。
iPhoneユーザは「Acrobits Softphone」が最良です。
今回はつまらないまとめですが、これが究極的な結論になります。
【偏見・私見】
最近、iPhone4sを買ったばかりなので、iPhone寄りのちょっとだけ偏見の入った意見です。
私の好みとしては「Acrobits Softphone」かもしれません。
Wi-Fi環境下における「Acrobits Softphone」の音質及び低遅延は凄まじいものがあります。
携帯電話の遅延時間を200msとして考えると、アプリによる足枷が殆どないということです。
プッシュ通知による着信も(ちゃんと動作させられれば)便利そうです。
いずれにしても、もう少しiPhone4s+Acrobitsを使ってみようと思います。