いずれの方法もUSBメモリを主体としているため、容量が少なすぎます。
いまや、テラバイト級のHDDが数千円で売られているのというのに、私は32GBのUSBメモリで細々と運用しています。
徐々にそれが億劫になり、もっと大容量のディスクがほしくなりました。
ついでにそのバックアップもとれれば、なお良しです。
そこで、ファイルサーバを構築することとしました。
【 サーバに求めるもの 】
ファイルサーバと言っても、私が求めているものは単純なファイルサーバ機能だけではありません。
動画のストリーミング配信が可能なメディアサーバ機能も持たせたいと思っています。
以下、サーバに求めるスペックです。
このようにワガママいっぱいなのですが、なんとこれを叶えてくれる機器が1つだけありました。
「TurboNAS」と言うネットワークドライブです。
これはLinuxベースのNASで、拡張機能として外部のクラウドストレージにバックアップもとれます。
価格は3万円程度です。(HDDなし)
これですべてを満足できるのですが、何か決定打(面白さ?)に欠けます。
【 タブレットをサーバにする? 】
結果として、私が選んだのはWindowsタブレットです。
Windowsであれば、OS標準でファイルサーバ機能とメディアサーバ機能を持っています。
また、タブレットは本来、持歩くことを想定しているため、物凄く低消費電力です。
さらに、iPadやAndroidタブレットと市場が競合しているため、非常に安価な価格設定です。
しかし、問題は1TBも容量のあるタブレットなど存在しないことです。
さらに、タブレットは無線LAN接続が基本であり、これではサーバとしては不安定です。また、通信速度も遅すぎます。
まだ問題があります。
安価なタブレットPCは、内蔵ストレージにeMMCが使われています。
これはファイルサーバのキャッシュとして使うには不向きです。
問題点をまとめると以下のとおりです。
【 Windowsタブレットをサーバにするために 】
Windowsタブレットをサーバにするためには、先ほどの3つの問題点をクリアしなければなりません。
しかし、これは意外と単純な発想でクリアできます。
「足りないものは後付けする」
と言うことで、HDDと有線LANアダプタを、USB接続(外付け)とすることでこの問題をクリアします。
案外、どんなものでも接続すれば認識してしまうものです。
「何でも挿せば動く」Windows最大の魅力です。
【 Windowsタブレットサーバの構築 】
Windowsタブレットをサーバにするために必要なものを列挙します。
◆ Windowsタブレット
これがなくてはどうにもなりません。
Windowsが搭載された格安のタブレットを選びます。
ちなみに、高性能である必要はありません。
私は2万円ちょっとで買える「Iconia W3-810P」を選びました。
ですが、今はダントツで以下タブレットがお勧めです。
Windows8.1を搭載していながら2万円を切る価格帯です。
(ドスパラ限定商品のようです。)
◆ USBハブ
3種類のUSBハブを試しました。
1台目はまさに「安物買いの銭失い」です。
怪しいメーカの激安ハブを使ったら、遅い遅い・・・。
最初はハブが原因とは気付けず、「やはりタブレットではダメなのか」とガックリしました。
そうならないためにも、ある程度良いものを選びます。
USBハードディスクを安定して動作させられる、セルフパワーに対応したハブがお勧めです。
また、タブレットがUSB2.0までの対応だとしても、USB3.0に対応したものを選ぶと良いです。
私は以下のUSBハブを選びました。
◆ USB外付けHDD
速度を重視するならば3.5インチHDDを選びます。
省エネ・静音を重視するならば2.5インチHDDを選びます。
なお、できればUSB3.0に対応したHDDを選ぶと良いです。
私は以下のHDDを選びました。
◆ USB有線LANアダプタ
実際はUSB2.0で使うとしても、USB3.0に対応したギガビット有線LANアダプタを選びます。
私は以下の有線LANアダプタを選びました。
◆ USBメモリ
今回はキャッシュとしてこれを使うので、低速のUSBメモリでは役不足です。
しかし、見た目はUSBメモリで、中身はSSDという製品が存在します。
SSDであればeMMCより繰り返しの読み書きにも強く、速度も速いです。
以下製品がお勧めです。
◆ MicroUSB⇔USB変換ケーブル
これもUSBハブと同様、粗悪品は避けるべきです。
私はIconiaに標準で付属していた変換ケーブルを使用しました。
ある程度の品質が確保された有名メーカを選んでおけば問題ないと思います。
以上の機器をWindowsタブレットに接続すれば、ハードウェアの準備は完了です。
【 Windowsタブレットサーバ上でファイルを共有する 】
基本的にWindowsタブレットサーバに使うソフトウェアはOS標準のもので問題ありません。
接続したUSB HDDを共有すれば、それだけでファイルサーバとメディアサーバの出来上がりです。
しかし、クラウドストレージ上に常時バックアップをとるためには、別ソフトが必要です。
【 バックアップ先のクラウドストレージ 】
まずはバックアップ先を決定します。
無難なところではDropBoxかGoogleドライブです。
しかし、私が選んだサービスは「FINALBOX」と言うクラウドストレージです。
バックアップという観点からは、保存先にはFINALBOXのような無名なところを選ぶべきではないと思います。
いつサービスが終了してもおかしくありませんし、また預けたデータの扱い(機密性など)についても、信用できるわけではありません。
これについては別記事で詳細を書きたいと思います。
なお、FINALBOXのメリットは容量が無制限なことよりも、転送速度がDropBoxやGoogleドライブに比べて遥かに速いことです。
【 必要なソフトウェア 】
必要なソフトウェアは次の2点です。
この2つのソフトは私が使っているだけであって、同様のソフトはたくさんあります。
もし使いにくければ、自分にあったソフトを探してみると良いと思います。
◆NetDrive
クラウドストレージをローカルドライブとしてOSに格納できます。
なお、ひと月の試用期間が過ぎると、機能が限定されますが、これは限定されていても特に問題はないと思います。
(ただし、4GB以上のファイルを扱えません)
◆FreeFileSync
ローカルドライブ間で同期したり、バックアップをとったりと様々なことができます。
この2つのソフトを組み合わせて、USB HDDとクラウドストレージとを、リアルタイムに同期します。
(※ ソフトの使い方は、他サイトで多くの情報が得られるため割愛します。)
これで、バックアップシステムが完成です。
【 タブレットとしての電源管理機能を無効にする 】
タブレットは最大限にバッテリを保たせるため、すぐに画面がOFFになります。
通常の運用であれば、これで全く問題はありません。
しかし、困ったことに画面消灯中は強制的にLANもスリープ状態に入ってしまいます。
こうなると、ネットワーク上からWinタブサーバが姿を消します。
これではサーバとして機能しません。
そこで、電源オプションを変更することになるのですが、電源オプションが「バランス」から変更できない場合があります。
これはモバイル用途に最適な電源管理「InstantGo」が有効になっているためです。
この場合、まずは「InstantGo」を無効にして、詳細な電源管理を行えるようにする必要があります。
そうした後、画面が消灯してもスリープしないように設定します。
- 検索からregeditと打ちレジストリエディタ「regedit.exe」を起動します。
- HKEY_LOCAL_MACHINE System\CurrentControlSet\Control\Power と進みます。
- 「CsEnabled」の値のデータを「1」から「0」に変更します。(InstantGoの無効化)
- レジストリエディタを閉じて、Windowsを再起動します。
- 電源オプションの詳細設定より、画面消灯時もスリープしないよう設定します。
【 まとめ 】
Winタブサーバ構築費用
約32000円です。
う・・・、なんか、TurboNASとほとんど変わりません。(゚_゚;)
苦労したくない人はTurboNAS買ってください。
・・・!!
こういう風にまとめたかったわけではありません!(-_-;)
もちろんTurboNASも良いのですが、Windowsで作ったサーバはとにかく使い勝手が良く、メンテナンスさえも、リモートデスクトップで行えます。
また、非常に多くのフリーソフトがあるため、自分の好みにカスタマイズも可能です。
なお、リモートデスクトップクライアントは、MS純正アプリとしてスマホにも提供されています。
さらに、Winタブサーバは、Windowsならではの冒険もできます。
現在、FINALBOXが実用可能か試験中なのですが、正直言ってWEVDAVがかなり不安定で、接続できない時間が一日の半分ぐらいあります。
それでも何とか、エラーを出しつつもバックアップをしています。
そんな「適当さ」もWindowsであるからこそ許されることです。
パッケージ化された鉄壁のTurboNASか、自由度が高くなんでもできるWinタブサーバか。
ほぼ同価格帯であれば私はWinタブサーバを選びたいと思います。
(本音を言うと、費用対効果が非常に高い上に、こんなこと誰もやっていなくて面白いからなんですが。)