今回は、SIPクライアント(アプリ)の違いによる音質の変化や、スマホのスペックによる音質への影響など、複合的な要素を取り入れて検証を行っています。
以下が検証を行ったIP電話サービスです。
【検証条件】
「G-Call050」と「ブラステル」は専用アプリを使わずに検証します。
この2つ以外はSIPクライアントに専用アプリを使います。(設定は全アプリ共通でデフォルト)
また、性能の異なる3種類のスマホで、それぞれの音質・遅延を検証します。
なお、IP電話において「自分が聞く相手の声」はほとんどの場合でクリアな音声に聞こえます。
重要視すべきことは「相手に届く自分の声」です。
そのため、今回の検証も今までと同様に「相手に聞こえる自分の声」を録音しました。
詳細は本記事のPart1をご覧ください。
<スマホでIP電話をゼロから考える(Part1)【検討】>
また、過去に行った検証もいくつかありますので、興味のある人はカテゴリメニューの「スマホ【IP電話・無料通話】」からご覧ください。
【検証に用いた環境】
[使用した端末]
[回線]
[録音環境]
[遅延測定環境]
※
携帯電話同士の遅延時間は200ms程度です。したがって、IP電話単体の遅延時間を知りたい場合は、この測定した遅延時間から約100msを引いた値が本来の値となります。
ただし、ここでは実用的なデータを載せたいため、「IP電話→携帯電話」の遅延時間をそのまま掲載します。
【検証結果】
<音声の元データ>
サービス名 | SIP クライアント |
音声 コーデック |
機種 | 音質 | 遅延時間 (ms) |
050plus | 専用アプリ | G729a | L-01F | 564 | |
P-06D | 462 | ||||
SH-07D | 458 | ||||
G-Call 050 | CSipSimple | L-01F | 486 | ||
P-06D | 401 | ||||
SH-07D | 439 | ||||
Acrobits Softphone |
L-01F | 689 | |||
P-06D | 396 | ||||
SH-07D | 559 | ||||
Media5-fone | L-01F | 424 | |||
P-06D | 402 | ||||
SH-07D | 422 | ||||
ブラステル | CSipSimple | L-01F | 410 | ||
P-06D | 378 | ||||
SH-07D | 446 | ||||
Acrobits Softphone |
L-01F | 423 | |||
P-06D | 378 | ||||
SH-07D | 404 | ||||
Media5-fone | L-01F | 422 | |||
P-06D | 372 | ||||
SH-07D | 422 | ||||
FUSION IP-Phone SMART |
SMARTalk | iLBC | L-01F | 648 | |
P-06D | 504 | ||||
SH-07D | 543 | ||||
BIGLOBEフォン ・モバイル |
専用アプリ | Speex | L-01F | 419 | |
P-06D | 472 | ||||
SH-07D | 507 |
【検討・考察】
まずは、今までに定説とされていた「IP電話を使うには高性能なスマホが必要」ということを否定します。
今回、参戦したスマホの中で、一番低スペックな「SH-07D」が最も音質が良いです。
また、遅延時間に関しても、高性能なほど低遅延というわけではなく、ある意味「スマホとアプリの相性」のように思えます。
なお、防水スマホだと音が悪いと言われる場合もありますが、今回の結果を見る限り、そんなこともなさそうです。
(「SH-07D」と「P-06D」は防水仕様)
また、今回の検証で1つ気になった点があります。それは、過去に測定した結果よりも全体的に遅延時間が大きいのです。
これは憶測ですが、遅延時間計用端末を「SH-07D」から「F-08D」に変更したためと思われます。(F-08Dの電話性能はかなり悪い)
本来ならば、あと30~40ms程度は遅延時間が小さい数値になると思いますが、今回はすべて生値(そのままの数字)を掲載しました。
さて、本格的に検討・考察を行います。
◆ IP電話サービスの比較
まずは、IP電話サービスにおいて一番重要な「遅延時間」についてです。
表中にも羅列しましたが、これでは見難いため単純化します。
遅延時間が小さい順に並べます。
各IP電話サービスにおける遅延時間の平均
ブラステル
406 ms
BIGLOBEフォン・モバイル
466 ms
G-Call 050
469 ms
050plus
495 ms
FUSION IP-Phone SMART
565 ms
「ブラステル」が一番低遅延で性能が良いということがわかります。
次いで、「BIGLOBEフォン・モバイル」、「G-Call 050」、「050plus」と続きます。
「FUSION IP-Phone SMART」は565msの遅延となっていますが、このぐらいになると会話に支障をきたす時間です。
固定電話にかけた際は、相手側に由来する遅延時間はほぼゼロなため、「FUSION IP-Phone SMART」でも違和感を感じつつも会話はできると思います。
しかし、相手が携帯電話だった場合は、スムーズな会話は困難になるでしょう。
それ以外の「ブラステル」、「BIGLOBEフォン・モバイル」、「G-Call 050」、「050plus」は、この程度の遅延時間であれば、固定電話とは違和感のない会話ができると思います。
しかし携帯電話宛となると、違和感なく会話ができるのは「ブラステル」ぐらいでしょうか。
ただし、今回の検証は光回線という好条件ですので、3G回線(LTE)を使用した際はもう少し遅延時間が増えます。
これはそのときの回線品質に左右されますので、明快な回答は出せませんが、LTE接続時であれば、遅延を感じながらもまずまず良好な会話ができるとは思います。
◆ 音質の比較
これは「IP電話サービス」と、「使用したスマホ」と、「アプリ」との異なる3つの要素からなります。
まずはわかりやすいところで「使用したスマホ」による音質の差ですが、これはもう音声データを聞いて頂けばわかるとおり、ダントツで「SH-07D」の音質が優れています。
これは多分「スマホの作り」によるところだと思っています。
(正式名称)「AQUOS PHONE st SH-07D」はスマホにWolfson製チップを搭載するなど、今のスマホ業界には考えられないほど、シャープが作りこんだ製品です。
(今はシャープに限らず、各社スマホ開発に力を入れていません。儲からないから・・・。)
と、これ以上書くと主旨がズレるのでこれで終わりますが、結論として「音質はスマホ端末によるところが大きい」です。
よく言われている、「ハイスペック機ほどIP電話の音質が良い」これは誤りであることがわかります。
(Wolfson製チップを搭載したSH-07Dは、ある意味ハイスペック機に属するのかもしれませんが・・・。)
SH-07D 白ロム価格 (アマゾン)
(かなり安くなりました。もう一台確保しておきたくなります・・・。)
次に「IP電話サービス」による音質差です。
これは、遅延時間以外でほとんど影響はありません。
大きく影響するのは、そのサービスで利用できる「音声コーデック」と「アプリ」です。
音声コーデックは「G729a」よりも、「iLBC」や「Speex」の方が、声が聞き取りやすくキレイな音質です。
なお、スマホにかかる負担(CPU使用率)は「iLBC」が一番大きく、次いで「Speex」・「G729a」の順となります。
しかし、「iLBC」を用いた「SMARTalk」の場合を見てもわかるとおり、この程度の負荷であれば数世代前のスマホでも十分に処理できています。
アプリの比較に関しては、同一コーデックを使っていない限り単純な比較はできないのですが、私の主観を混じえて総合的に考察します。
<共通>
今回はあえて、エアコンの音などの環境ノイズが発生している部屋で録音しています。(実際の使用環境に近づけたかったため)
ヘッドフォンで聞くとこの環境ノイズが聞こえるのですが、ケータイで聞いた場合は全く気になりません。
(ケータイで聞いた音が「本来の音」なので、興味のある人はスマホの受話口で聞いてみてください。)
<050plus>
これは素晴らしいです。
使用するスマホに関わらず、高音質です。
「G729a」を使った他のアプリと比べても、音の作り(声の聞き取りやすさ)は最も優れています。
<CSipSimple>
スマホによる相性が出にくく、すべてのスマホでなかなか良い音質となっています。
なお、このアプリは設定項目が多岐に渡るため、設定値を詰めることにより、さらに自分好みの音質を作ることもできます。
<Acrobits Softphone>
「G729」を使った音質は、他と比べて若干劣っています。
また、利用する端末によって得手不得手があるようにも思えます。
<Media5-fone>
今回検証したサードパーティ製のアプリでは最も音質が良いです。
スマホによる相性もなさそうです。
<SMARTalk>
非常にクリアな音声なのですが、音質に若干のザラザラ感があります。
実際の受話器ではほとんど気になりませんが、ヘッドフォンで聞くと目立ってしまいます。
<BIGLOBEフォン・モバイル>
今回検証した中で最も聞き取りやすく違和感のない音声です。
ただ、偶発的かもしれませんが、出だしで音飛びしているところがありました。
【まとめ】
「ゼロ・ゴー・ゼロ・プラスへお繋ぎします」
このガイダンスが許せるならば、断然「050plus」がおすすめです。
登録も簡単で、音質は良好、使うスマホも選ばない。
下4桁に好きな番号も選べ、ガイダンス以外は文句なしです。
◆ 「050plus」の詳細を確認 (公式へ)
プロバイダが「BIGLOBE」(MVNO含む)の人は「BIGLOBEフォン・モバイル」が良いです。
これも難しいことは何も考える必要がなく、簡単に使えて音質は最高です。
◆ 「BIGLOBEフォン・モバイル」の詳細を確認 (公式へ)
(最大1ヶ月間の無料期間があります。)
料金最優先で、固定電話宛だけではなく、携帯宛にも日常的に使いたい人は「ブラステル」がお勧めです。
ブラステルは発信時に以下のガイダンスが流れます。(約11秒)
「○○○分、ご利用できます。ブラステルのご利用ありがとうございます。このまましばらくお待ちください。」
たった11秒間だけなのですが、結構煩わしいです。
しかし、これは慣れの問題だと思います。この通話料で月額も無料であれば、この煩わしさも許せます。
なお、ブラステルは留守電と着信通知機能がありません。そのため、これら機能が必要な場合、ブラステルは適しません。
◆ 「ブラステル」の詳細を確認 (公式へ)
(ここは少々わかりづらいページです。
「ブラステルカードのお申込み」 → 「今すぐご利用可能!オンラインカード」からオンライン上で契約可能です。)
そして最後になりましたが「G-Call050」を使うべき人です。
このような人は、他を試すまでもなく「G-Call 050」をおすすめします。
◆ 「G-Call 050」の詳細を確認 (公式へ)
(トップページからでは目的のページにたどり着けないほど、サイトの作りは酷いのですが、サービスは優秀です。
3ヶ月間の無料期間のうちに、SIP情報を取得して他アプリでもテストしてみてください。)
以上で、2記事に渡った「スマホでIP電話をゼロから考える」終了です。
G-Call050のSILKが完全復活すれば、また結果も変わってくるのかもしれませんが、これが今現在における結論と考えます。
[2014/1/27追記]
「G-Call 050」公式アプリがAcrobits製の「Cloud Softphone」に変更されました。
そのため、他アプリを試さずともそのままで十分高音質になり、さらにプッシュ着信にも対応しました。