そしてやっと結論がでました。
現在は次の運用方法が最も優れています。
IP電話サービス:G-Call050
SIPクライアント:CSipSimple
そこで、今回は「G-Call050」を「CSipSimple」で使う際の検証を行います。
【これまでの経緯】
今までに多くのIP電話の検証を行ってきましたが、そのどれもが一長一短で「これが一番!」というものはありませんでした。
と言ってもスマホで有用なIP電話サービスは少なく、次の3つしかありません。
メリット:初心者でも使える
デメリット:(他の2つに比べて)音質が悪い
メリット:月額無料、好きなSIPクライアントが使える
デメリット:通話料が高い
メリット:高音質・低遅延、低速回線にも強い
デメリット:専用アプリがかなり悪い
私の場合、使いやすさよりも音質を重視するので、専用アプリには目をつぶって「G-Call050」を使っていました。
しかし、今回「G-Call050」のSIP情報の抽出に成功したことにより、専用アプリの呪縛から逃れ、好きなSIPクライアントで使えるようになりました。
そこでSIPクライアントに「CSipSimple」を使い、「G-Call050」の音声コーデックを変更し、その音質を検証しました。
「G-Call 050」と「050plus」については、この記事を参照してください。
<スマホでIP電話「G-Call050」のすすめ>
<スマホでIP電話「050plus」のすすめ>
各IP電話の音質比較はこの記事を参照してください。
<スマホでIP電話「各社の音質比較」編>
SIP情報の抽出法方は、この記事を参照してください。
<「G-Call 050」のSIP情報を抜く方法>
【音質・遅延の検証結果】
[音質の比較]
音質の比較については、「FUSION IP-Phone SMART」の録音機能を使いました。
なお、遅延の測定は別に行なっているため、このデータはすべて光回線のWiFi接続によるものです。
実は遅延測定と音質比較の録音を同時に行いたかったのですが、携帯で録音すると音質が若干劣化してしまい、コーデックによる差がわかりづらくなってしまいました。
そこで、より正確な音質を得るため、「FUSION IP-Phone SMART」の留守電機能を利用しました。(FUSIONの録音は128kbpsの高ビットレートで録音可能)
以下に、実際に録音した音声データを一覧にします。
(夜中に録音している関係上、音量は小さめです。)
<音声の元データ>
<G-Call050音質検証>
SIPクライアント | 音声コーデック | 音声データ | 備考 | |
CSipSimple | PCMU | |||
GSM | ||||
SILK | 24kHz | |||
8kHz | ||||
エコーキャンセル・音声検出「ON」 | ||||
050plus | G729a | 050plus純正アプリ使用 | ||
G-Call050(純正アプリ) | SILK? | 品質「高」 | 純正アプリが使うコーデックは詳細わからず | |
GSM? | 品質「低」 | |||
Zoiper | PCMU | CSipSimpleとの比較用 | ||
GSM |
[遅延の測定]
遅延の測定は、PCスピーカから出力される音声を、ネットワークを通じて聞こえるものと、ダイレクトに聞こえるものとをミックスして録音し、その音声データの波形から解析しました。
以下に、遅延測定結果を一覧にします。(すべて「G-Call050」と「CSipSimple」の組み合わせ)
回線種別 | 音声コーデック | 遅延(ms) | |
光 | PCMU | 397 | |
GSM | 350 | ||
SILK | 24kHz | 387 | |
8kHz | 385 | ||
3G | PCMU | 616 | |
GSM | 585 | ||
SILK | 24kHz | 659 | |
8kHz | 459 |
[考察]
正直言いまして、どのコーデックを使用した場合も激的な違いはありません。(GSMは若干こもったような感じになる。)
コーデックによる遅延時間もほとんど影響ありませんので、好みで選んでもいいかと思います。
傾向としては次のようになるかと思います。
なお、CSipSimpleの話になるのですが、「音声検出」の有無は音質に大きく影響しました。
「エコーキャンセル」は場合により有効にしても良いかと思いますが、「音声検出」は常時OFFで良いかと思います。
このCSipSimpleの話は他所で多くの情報があるため、それらを参考に自分の環境にあった設定を探してみてください。
【まとめ】
そもそも「G-Call050」は純正アプリを使用しても素晴らしい音質です。
それを「CSipSimple」と組み合わせることによって、音質とアプリが両立した「スマホでIP電話の完成形」になったと言えます。
今回の検証は「CSipSimple」をデフォルト設定で使っていますので、これを更に自分用に最適化できます。
これは純正アプリの時には出来なかったことです。
更には電話帳との連携や、バッテリーの低消費化など、今までには無かった恩恵が次々と受けられます。
私はこれを機に「050plus」を解約します。
そしてIP電話は「G-Call050」+「CSipSimple」、
留守電専用として「FUSION IP-Phone SMART」を使っていこうと思います。
「G-Call050」については、こちらの記事もご覧ください。
<スマホでIP電話「G-Call050」のすすめ>
【余談】
今回はまずいです。
検証が楽しくて、何も気にせず携帯とFUSIONに電話をかけまくっていました。
約1分の通話を合計で50回ぐらいです。通話料が…。
16.8円×50回=840円
あれ?そんなでもないです。
これが携帯だったら
42円×50回=2100円
こうなります。あらためてIP電話の安さを再認識した瞬間でした。
    
スマホ購入を考えています。はじめてのスマホですが、できるだけ安上がりにするため、BIC SIMのミニマムスタートプラン(945円、500MB)を通信手段とし、それにお勧めのIP電話G-CALL050を申し込む予定です。基本的にこれだけで電話をまかないたいと考えています。
返信削除電話はそれほどヘビーユーザーではありませんが、上記のような通信環境で、一日20~30分の電話は大丈夫なのでしょうか。IP電話は結構バンドルクーポンを消費すると聞いたものですから、少々不安です。
何も分からず手探り状態なので、よろしくご教授下さい。
コメントありがとうございます。
削除バンドルクーポンはOFFでIP電話は使ったほうが良いです。
IP電話に使う帯域はBIC SIMの最低速度で十分です。
基本的にバンドルクーポンはOFFで運用し、(IP電話以外の)何かの必要に応じてONにすれば良いかと思います。
ご返信ありがとうございました。IP電話には最低速度で十分と聞いて安心しました。
返信削除ところで、現在はガラケーとは言え電話通信会社との契約なので、通話の安定性、音質など問題は無かったのですが、携帯のIP電話はこれらの点でどうでしょうか。十分普通の電話として使用に耐えうるものでしょうか。
聞いてばかりで申し訳ありませんがよろしくお願いします。
「携帯電話」と「スマホのIP電話」とを比較すると、圧倒的に「携帯電話」の方が使い勝手が良いです。
返信削除固定回線によるWi-Fi環境下であれば、十分に普通の電話です。
しかし、3G接続時(外出時)の安定性は携帯電話にかないません。
BIC SIMであれば「wi2 300」をうまく利用して、混雑時などの回線が安定しないときは「wi2 300」によるWi-Fi接続でIP電話を使うというのもありかと思います。
結論として「十分普通の電話として使用に耐えうるもの」か?で考えますと、私の主観ですが「耐えうるもの」です。しかし使う側もそれなりにIP電話にスタイルをあわせる必要があります。
・外出時は多少遅延するものと考える。
・朝のラッシュ時(都内)は使用不可。(回線速度が遅くなりすぎる)
・上記場合などはWi-Fi(wi2 300など)を使用する。
・高速移動中(電車など)は切れることがある。
この程度の意識は必要かな、と思います。
>聞いてばかりで・・・
こういう試みは大好きです(笑)
何回でも聞いてください。
ブラステルをCSipSimple で試してみようとしているのですが、設定方法がわかりません。Wert さん、教えていただけないでしょうか?
返信削除「ステルをCSipSimple で…」つながりました! Wert さんの設定を参考にした結果、通話してみたら遅延なしと言ってもいいくらい快適に話ができました(泣)設定で分からない項目がありまして、ご存知でしたら教えていただきたく思います。まず「ネットワーク」で「DNS SRV を解決」、「セキュアトランスポート」とは何でしょうか?それと「メディア」で「コーデック」の項目で、SILK 24kHz 、PCMU 8kHz、PCMA 8kHz にチェックが入っているのですが、SILK にだけチェックを入れればいいのですか?(理屈はわかりませんが)それともう一つ、「初期ストリームレベル」とは何ですか? 質問攻めですいません、お時間許す時に教えていただければ幸いです。よろしくお願いします。m(_ _)m
返信削除Hiroさん
返信削除コメントありがとうござます。
快適に使用できたようで良かったです。
「DNS SRV を解決」:Android側でSRVレコードが取得ができなかった場合に、CsipSimple側でそれを解決するものになります。(気にしなくてOKってことです。)
「セキュアトランスポート」:TLS通信に関するものです。これを採用しているIP電話は有名どころで「050plus」です。
「SILK」:ブラステルはSILKに対応していません。PCMU(高音質だが要帯域)かGSM(低音質だが低帯域でOK)を選ぶと良いです。
「初期ストリームレベル」:ごめんなさい、正確にはわかりません。音量に関係する項目のはずですが、テストしたことがないため、これの変更でどのような挙動を示すのかが定かではないです。
ありがとうございます! テストで電話の相手の声がちょっと小さいなぁと思ったので、音量を上げるような設定はないものかと思っていたのですが、初期ストリームレベルが関与しているかもしれないですね。
返信削除もうひとつ別種の質問をしたいのですが、ナビダイヤル0570から始まる番号をIP電話からかけるとエラーになるのはなぜなのでしょうか?
Hiroさん
返信削除>ナビダイヤル0570から始まる番号をIP電話からかけるとエラーになるのはなぜなのでしょうか?
技術的な話ではないと解釈します。
純粋に、ブラステルからナビダイヤルへは発信できないからです。
そうでしたか。ちなみにスカイプからもかけられなかったのでIP電話の特性なのかと思いました (^^;
返信削除Hiroさん
返信削除すみません、言葉足らずでした。
ナビダイヤルへの発信は、ブラステルのみではなく、ほとんどのIP電話でできません。
そうでしたか。ご丁寧に教えていただいてありがとうございました。m(_ _)m
返信削除